死んだ嫁のデジタル遺産は今でも残り続ける〜Horizon Workroomsが完成したら

嫁のこと
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嫁のSNSアカウント

 

嫁が死んで6年が経ったということを考えるたびに不思議な気持ちになる。

そんなに長く離れているのか。

 

つい昨日まで一緒にビールを飲んでいたような気がしてならない。

確実に時間は経過しているのだが、私の脳のどこかの一部だけは時間が止まったままなのだろう。

 

それにはいたるとこに存在する嫁の痕跡が関係していると思う。

キッチンには嫁が使っていた調理道具がそのままズラリと揃っているし、毎日コーヒーを淹れていたマグカップ、茶碗、皿・・・などなど。

 

嫁のスマホにスイッチを入れると、まだあの時のままの待ち受け画面が現れる。

LINEのアカウントもFaceBookのアカウントも消せずにそのまま残っている。

 

トークを開けば最後に交わした嫁からのメッセージがそのままだ。

今、私がLINEに『週末はどこで飲む?』とメッセージを送れば、もしかすると既読になるのではといつも思う。

 

嫁の肉体は6年も前にこの世から消え去ったというのに、デジタル遺産は今でもそのまま残っているのだ。

最近よく耳にするこのデジタル遺産という言葉。

 

その意味は、『FXや仮想通貨の取引アカウントやSNSアカウントなど、デジタル形式で保管されている財産のこと』だそうだ。

おそらくこのブログも私が死んだ後はデジタル遺産として残り続け、いつまでも人の目に触れ続けるのかもしれない。

 

もう10年近く前の話になるが、大阪のブログ友達が突然舌癌になったことをブログで明かした。

舌癌と言えばタレントの『堀ちえみさん』を思い浮かべる方が多いと思う。

舌癌は癌の中でも生存率が低いがんとして知られている。

 

舌癌をブログで公表した女性は闘病の様子をブログを通じて書き続けたが、最後は力尽きて亡くなってしまった。

おそらく舌癌との闘病の様子をブログに書きはじめた当初は、自分がまさか癌で死ぬとは思っていなかったんだと思う。

 

しかし癌の進行は早かった。

あっという間に彼女は死んでしまった。

 

そしてそのブログを最後に更新したのはお嬢さんだった。

母が亡くなったことをブログで伝え、そして生前ブログを通じて母と交友していただいたことに感謝の言葉が綴られていた。

 

そのブログは多くの友人たちからのコメントだけが更新され続けた。

そして、ブログのコメント欄は友人たちの思い出を綴る場所になった。

 

こうして故人が残したデジタル遺産は、本人は死んでしまったとしても永遠に残り続ける。

それがいいか悪いかは別として、たかがどこかのサーバーに消去されずに残っただけの文章や写真ではあるが、それは故人が確かに生きていたという証でもあると思う。

 

嫁の最後のLINEのメッセージには爆笑している絵文字がついている。

 

それを見るたびに私の胸は締め付けられる。

 

たかがデジタルの絵文字なのに・・・

 

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Horizon Workrooms(ホライゾン・ワークルーム)

 

Horizon Workrooms(ホライゾン・ワークルーム)という聴き慣れない言葉が、おそらくこれから世界中を話題の渦に巻き込むだろう。

Horizon Workrooms(ホライゾン・ワークルーム)とは、メタバースと呼ばれる現実世界を仮想化するテクノロジーの概念を使って、あのFaceBookが作り上げる仮想空間の名前だ。

 

要するにアニメ監督の細田守さんが描いた『サマーウォーズ』や最新ヒット映画『竜とそばかすの姫』に出てくるあの世界のことだ。

映画をご覧になった方はよくわかると思う。

 

ずいぶん昔にも『セカンドライフ』という仮想空間が流行ったことがある。

私も一時はハマってやっていたが、理由ははっきり覚えていないがやめてしまった。

当時は自分の分身であるアバターも精度が低く、仮想空間自体もいろんなバグがあって完成度が低かった。

 

しかしあらためて調べてみると、あのセカンドライフはまだ健在でサービスを提供しているらしい。

根強いファンがまだ遊んでいるのだ。

 

一時はいろんな大手企業が参入して、バーチャルのショップを作ったりリンデンドルという仮想通貨で、実際にアバターの洋服を買ったりできた。

セカンドライフ内の土地を売って1億円以上儲けたという人まで現れていたから、かなり活発な経済活動が行われていたのだ。

 

今回のFaceBookが始めるHorizon Workrooms(ホライゾン・ワークルーム)は、パソコン上でプレイするのではなく、VRゴーグルをつけてプレイする本格的なものだ。

ただ、いつまでもゴーグルをつけて遊ぶというのも面倒臭いので、いずれかはゴーグルもなく、本当にアニメのようにバーチャル体験ができるようになるのではと思う。

 

私はこういうのが大好きなので、ぜひアニメのような仮想空間で遊んでみたいと思う。

 

しかし・・・

 

ただ、これも一つのデジタル遺産となり得る。

 

そうすると、プレイやーがもし亡くなってしまったとしても仮想空間の中にはアバターは残るだろう。

これまでのSNSはただの文章や写真だった。

しかし仮想空間となると、アバターはより高性能、高精細になっているはずだ。

 

プレイヤーが亡くなったとしても、そのリアルなアバターは永遠に仮想空間の中に残り続けることになる。

動かなくなったアバターの周りを私はいつまでも離れられない。

 

動かないアバターに話しかけても、キスをしても、ハグをしても、リアルな死体のように動かないアバター。

 

プレイヤーが死んだなら、アバターも死ぬようにプログラムを組めないものだろうか。

じゃないと仮想現実の世界がリアルになればなるほど、いつまでもパートナーや友人たちはダメージを受け続けることになる。

 

技術の進化は新しい世界を作り上げると同時に、新しい悲しみまで作り上げるのかもしれない。

 

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追記

 

仮想空間にも焼き鳥屋とバーだけは絶対に作ってほしい。

そしてもしプレイヤーが死んだらという話にもどるが、オートでアバターが動き出すというプログラムに切り替わるのはどうだろう。

そうすればアバターはいつまでも仲間と一緒に仮想空間の中で生き続けられる。

 

もっと早くにHorizon Workroomsが完成していたら、私はいつまでも仮想空間で嫁に会えていたかもわからない。

そうなるといつのまにか現実世界よりも仮想空間の中の方が楽しくなるかもだ。

 

人は仮想の世界で永遠の命を手に入れる。

 

それは天国だろうか、あるいは地獄だろうか。

 

 

※この記事は過去に書いたものをリライトして再掲載したものです。

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