持って生まれた運命とは本当にあるのか？ただの諦めの言葉にも聞こえるが

都合のいい言葉

 

運命とは『人間の意志をこえて、人間に幸福や不幸を与える力のこと』なんだそうだ。

要するに人間にはどうしようもないことなんだろう。

 

私も『運命だから』と言うことはある。

どうしようもないことに対して何か諦めのような言葉として使っている気がする。

 

しかし本当に『運命』はあるのか？

どうも運命と言ってしまえばなんでもカタがついてしまうから、だから人が都合よく使っているようにも思える。

 

ドリフターズの仲本工事さんが事故で亡くなった。

私も『8時だョ！全員集合』を見てきた世代なので、仲本さんの訃報を聞いた時は本当に悲しかった。

 

しかもちょうど仲本工事さんの奥さんが家を出てしまい、今はゴミ屋敷にひとりで住んでいるという記事を目にしたばかりだったから、なおさら不憫でならなかった。

日本のお笑いの頂点にいた人が、人生の終わりに奥様に出ていかれそしてゴミ屋敷で孤独に暮らしていたなんて、あまりにひどい話じゃないか。

 

そしてあの事故・・・

仲本さんは、そんなひどい人生の終え方をしなければならないようなことを何かしたのか？

 

これも運命？

 

仲本さんはそういう運命だったと言ってしまえば、全てはカタがついてしまう。

しかし、私はそんな運命など信じたくもない。

 

運命を司るのが神なのかなんなのか知らないが、長年国民に愛され茶の間に笑いを届け続けてきた人に対して、そんな仕打ちはないだろう。

持って生まれた運命とよく人は言うが、中本さんがそんな無惨な死に方をする運命とやらを、生まれた時から持っていたなんてあるわけがない。

 

運命はあるのか

 

人間の意志を超えた力で、人間を幸福にしたり不幸にしたりということが本当にあるなら、人間がやっている努力など最も無駄なことだ。

自分達の意志に関係なく勝手に幸も不幸も強いられるのだから。

 

しかしそういうひねくれたことを言うと、今度はこういうことを言い出す人がいる。

 

『努力は運命だって変られる』

 

とか・・・

 

『これをやれば運命が変わる』

 

なんか電車の中吊りで、こんなタイトルの本の広告を見た気がする。

元々、都合のいい『運命』なのに、人間の意思とは関係ないはずの運命が都合よく変られますよと言い出す人たち。

 

きっと玄関には植物を置けとか、カーテンの色は黄色にすべし！とか書いてあるんだろう。

それをやったら仲本さんは事故にも遭わず死にもしなかったと言うのか？

 

アイーンだな！

 

私が誰かから『運命はあるのか』と聞かれたとしたなら、私ははっきりとこう答えよう。

 

人間は自分の意思と行動で人生を切り拓くとね。

 

運命と必然

 

運命という言葉が何かスピリチュアルな響きがあるのに対し、必然という言葉は超リアルな聞こえ方をする。

必然とは『かならずそうなるに違いなく、それ以外にはありえないこと。』だ。

 

運命が人間の意思とは無関係なのに対して、必然とは人間の意思や行動が導いた結果ということだろう。

そういうことなら私もたくさんの必然を経験してきた。

 

しかし自分の行動が招いた結果だから、その必然は受け入れるしかない。

だから必然は後悔を生み反省を促す。

 

では仲本さんが事故に遭ったのは必然だったのか？

どうやらニュースでは、仲本さんは夜中に奥様に会いに行くために横断禁止の道路を渡っておられたそうだ。

 

横断禁止の広い道路を81歳のおじいちゃんが見通しの悪い夜に渡っている。

そこに73歳のおじいちゃんが運転する車が走ってくる。

 

たったこの２行で、すでに事故が起きる必然性があると思わないだろうか。

 

もっと言うと、仲本さんは出ていった奥様に会いたかった。

仲本さんはゴミ屋敷で孤独に暮らしていた。

 

ニュースを読むだけでもたくさんの必然性を感じる内容が読み取れる。

 

結局仲本さんは運命によって命を落としたのではなく、たくさんの必然性の中で死にいたる確率が高くなっていたのだと思う。

 

仲本さんの死が運命じゃないとすると・・・

やっぱり誰かが救えた命だったんじゃないだろうか。

 

長々と書いてしまったが、私はそれを言いたかった。

 

運命はあるのか？

 

ねえよ！