老後も賃貸派〜結局家は賃貸と購入のどっちがお得なのか!?

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どちらが得かは結局わからない

 

私がなぜ60歳も過ぎた老後だというのに、家も買わずに賃貸マンションに住んでいるのか。

それは単に老後の家は購入派か賃貸派かという、結論の出ない論争によるものだけではない。

 

ずっと転勤族でしかも借り上げ社宅が多かったので、買うタイミングがなかったというのが一番大きな理由ではある。

自分が住みたいマンションを選び、それを会社に借り上げてもらっていたので家賃はタダ。

 

だから家を買おうなんて夢にも思わない。

ましてやまたすぐに転勤で知らない土地へ引っ越してしまうのだ。

 

まるで一夏しか街にいない木下大サーカスのように・・・

仕事が終わればまた家畜を連れて家族を連れて次の街へ。

 

思えば人生は旅の連続だった。

そして流れ着いたのが東京なのだ。

 

おかげで老後となった今も賃貸暮らしを続けているという次第・・・

 

家を買うということに興味を持たなかった理由はもうひとつある。

それは亡くなった嫁の弟が不動産会社の社長をしていたからだ。

 

弟も不動産会社の社長でありながら賃貸マンションに住み続けている。

まあ、社長だからかなりいいマンションではあるがそれでも賃貸。

 

その弟から、特にマンションは買うよりも借りた方がいいと教えられてきたのだ。

所有するコストと借りるコストを数字で比較してみると、なるほどそれなら借りた方が結局得ではないかという結論に達し、それで老後の今でも賃貸派の方に属しているというわけである。

 

実は最近になって、もうひとつ賃貸のメリットと思っていることがある。

それは高齢者の寿命がどんどん伸び、60歳という人生の節目に住んでいる家が終の住処ではなくなることだ。

 

どういうことかというと、60歳を過ぎた老後でもまだまだ現役で働かなければならない時代がすでにきている。

そうすると、どこかに定住している場合ではないのである。

私の若い頃のように、仕事に合わせて住み変える必要が必ず出てくるはずなのだ。

 

さらにコロナによるリモートワークは、もはや日本人の働き方としてニューノーマルになりつつある。

一生の住まいを手に入れることがステータスだった時代は終わり、もっと住まいというものを長い長い老後に合わせて柔軟に考えていかなければならない。

 

これまでは人生で稼いだお金の大半を不動産に費やしてきたが、これからは寿命に合わせてもっと合理的な消費に変わっていくのではないだろうか。

 

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危うく家を買うはめに・・・

 

そういう私も、一度も家を買おうと思ったことがないわけではない。

実はあやうく買ってしまいそうになったことがあるのだ。

 

それは私が転勤で福岡に住んでいたころの話だが、ちょうど娘が産まれたころなので私が30歳そこそこ。

当時はまだいい物件があれば、家を買おうかと思っていたころである。

 

福岡県に小郡という小さな田舎町があり、たまたま私が社用車でその街を走っていたときのことだった。

国道に立てられていた看板が目に入った。

それは新しい街が開発され、分譲住宅を売り出しているという案内の看板だった。

 

その看板に描かれている住宅はかなりの豪邸で、街並みもそのへんの建売住宅の雰囲気とはまるで違っていた。

しかしその看板の様子から、街が開発されてからかなりの時間が経っていると思われた。

 

私は仕事も終わったので、ちょっと冷やかしに行ってみるかと軽い気持ちで、その住宅のある方へ車を走らせたのだ。

 

社用車はよくある小さくて白い軽自動車。

そして私は街並みの一番奥に建てられていた、もっとも豪華な分譲住宅の家の前に止まり車から降りた。

 

その家は2世帯住宅で、私が現在住んでいる世田谷区内でもあまり見かけないような、全景がよくわからないほど大きな家だった。

2世帯住宅だから、これなら私たちが老後になっても娘夫婦と一緒に暮らせるじゃないか!

賃貸の家賃のことを考えれば、ローンの支払いなんてどうってことない。

 

分譲住宅の家の車庫には不動産会社の担当が机を置き、手足をだらりと伸ばして寝ている。

きっと客など何日も来ていないのだろう。

こんな素敵な家がなぜ売れないのだろう?と思い、私は看板に表示されている販売価格を見た。

 

すると20,000,000円と書いてある。

 

私はすぐに『安い!』と思って、その死体のように寝ている営業担当に声をかけた。

 

『すいません!見学させてもらってもいいですか〜』と。

 

びっくりして飛び起きた営業マンは、何が起きたのかわからないような寝ぼけ顔で、私を家の中に案内した。

 

家の中は外から見るよりさらにすごかった!

 

ドアを開けたすぐの玄関は、4人家族がそこに住めるくらいに広い。

一目でわかる上質な木質感。

 

いったい何平米あるのかというくらいに広い家だ。

2世帯が住める部屋は渡り廊下で繋がれていて、その両側にはとてつもなく大きいガラスで外と仕切られている。

 

そしてその渡り廊下の下には、なんと川が流れていて鯉が泳いでいるではないか!

 

私は思わず営業マンに『やっすいですね〜!この家!』と話かけた。

 

営業マンは『や、やすいですか!?』と何やら慌てふためいている。

ようやく買いそうな客が来た!と思ったのだろう。

私に揉み手をしながら腰を低くして後ろから着いてくる。

 

キッチンの設備も最高だ。

外国製のシステムキッチンがL字型に備え付けられ、調理台はアイランドになっていてここでパーティが開けるほど広い!

 

なんでこんなに安いのに売れないんだろう??

私が安い安いと連発するので、営業マンはますます上気した顔が真っ赤になった。

 

『隣の家もまだ売れてないみたいだから、まとめて2軒買っちゃおうかな?』

 

この私の言葉がとどめとなって、営業マンはいよいよ倒れそうに喜んでいる。

そして一通り家の中を見てまわり、営業マンに勧められるままにリビングの巨大なソファに腰をおろした。

 

そして営業マンがその家のパンフレットをテーブルに置き、すぐに外の自動販売機にコーヒーを買いに行った。

せめて私を缶コーヒーでもてなそうとしているのだ。

 

私はふとパンフレットに目をやり、ずらりと0が並ぶ販売価格を見た。

あまりに0がたくさん並んでいるので、目を近づけて指で再度数えてみると・・・

 

一、十、百、千、万、十万、百万、千万、一億・・・

 

い・・・いちおく?

 

なんと!

販売価格は20,000,000円ではなく200,000,000円ではないか!!!

 

小郡という街がどれほど田舎か福岡以外の方にはわからないだろうが、世田谷で2億と言ってもさほど驚かないだろうが、この田舎の2億はすさまじい金額なのだ。

しかも30年前の話である。

 

おそらくあの家が世田谷だったらとんでもない金額になるだろう。

 

それにしても30代とはいえ家の価値もわからないサラリーマンが、危うく2億の家を買いそうになるとは・・・

しかも隣も買う気でいたので2軒だ!

 

営業マンが腰が折れるほどに頭を下げて私の小さな軽自動車を見送っている。

 

私は車のバックミラーでその姿を見ながら、心の中であの営業マンよりも低く腰を折って『ごめんなさい!』と謝っていた。

 

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追記

 

あの若い頃に買えなかった2億円の家も、もしあの家に住んでいたらどうだっただろうと考える。

家族が多かったころは、きっと楽しく暮らせただろうな〜。

 

嫁があの広いキッチンで楽しそうに料理を作っている光景も見てみたかった。

 

しかし、今はひとりだ。

あんな大きな家にポツンとひとりでいるのは耐えられない。

 

家も広すぎると虚しい空間になってしまう。

 

 

※この記事は過去に書いたものをリライトして再掲載したものです。
なので、過去のコメントがそのままくっついてますがご了承くださいね。

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