日常に起きる小さな差別〜自分も差別を受けたりまた無意識に差別をしたり・・・

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気づかない差別

 

友人とはとバスで都内観光をしようという約束をしていたのを、当日の朝になって友人から届いたLINEを見て思い出した。

予約したのは1月の初めだったので、もう我々老人が覚えているはずもない。

 

最近はなんの予定もないのでGoogleカレンダーもあまり見なくなった。

おかげでバタバタと用意をして東京駅に向かうことに・・・

 

慌てて外に飛び出すとなんと!

雨じゃん。。。

 

実は今日のはとバスは二階建てのオープンバスで、当然屋根がないのである。

昨日までめっちゃ天気が良かったのに・・・

なんなら明日以降も天気予報は晴れ続きだ。

 

よりによって今日だけ雨かよぉ。

それにしても本当にバスは走るのか?

 

屋根がないのに・・・

雨なのに・・・

 

そんなことを考えながら東京駅に向かう。

途中、相合傘で歩く男性二人のカップルに気づいた。

 

顔は傘に隠れて見えないが、それでも二人の仲がいいことは見てわかる。

きっと同性カップルなんだろう。

 

今ではそういう光景もよく見るので、あまり珍しくもなくなった。

仲がいいということは、男女だろうが男同士だろうがはたまた女性同士だろうが見ていて微笑ましい。

 

しかし、岸田総理の秘書官だった荒井さんにしてみれば、こんな光景も気持ち悪いと言い捨てるんだろうな。

荒井秘書官の口から出た言葉は、オフレコ取材とは言え今の時代に耳を疑うような言葉だった。

 

記者に同性婚への見解を問われこう言い放ったそうだ。

見るのも嫌だ。隣に住んでいたら嫌だ。国を捨てる人が出てくる

 

こういう考えの人が政治に関わっているのか・・・

岸田総理の秘書官。

 

岸田首相はすぐさま荒井秘書官を更迭したらしいが、自分に一番近いところにいる秘書がこんな発言をして、岸田総理が語る多様性尊重とは一体なんなんだろうかと思った。

どんな人たちだって幸せに生活する権利があるはずだろう。

 

しかしふと思った。

ここまであからさまな差別発言じゃないにしろ、多かれ少なかれ誰だって差別的なことは言っているんじゃないかと。

 

自分自身も含めて・・・

 

私のYouTubeのコメント欄にも60代でこんな動画が作れるわけがないとか、60代で彼女ができるわけがないとか何度か書き込まれたことがあった。

これだって立派な老人差別ですよ。

 

今日だってちゃんと自分でカメラを回していると言うのに。

特にSNS上には、この小さな差別が数えきれないほどある気がする。

 

見ず知らずの人の容姿や環境や行動に、容赦無く浴びせられる差別的なコメント。

まるでネット上は私刑の刑場のような有様だ。

 

そんなことを考えている時に、ふと昔の飲み仲間のことを思い出した。

そういや、これも差別と言えば差別だったなと苦い思い出が蘇る。

 

当時の私の飲み仲間に、二人の『ゆいちゃん』と呼ばれていた女性がいた。

飲み仲間たちがゆいちゃんの話をするときに、どっちのゆいちゃんの話かわからないものだから『どっちのゆいちゃんの話?』とみんなよく聞いていた。

 

すると飲み仲間たちがこういう。

『可愛い方のゆいちゃんの話』

 

ちょ!

それはあかんやろ!

 

可愛いゆいちゃんじゃないほうは自ずと可愛くないゆいちゃんになってしまうじゃないか。

しかし仲間内ではこの呼び方が一番話が通じるので、いつの間にかみんなそう言うようになってしまった。

 

もちろん本人の前ではそういう言い方は絶対にしないのだが、今思えば明らかに差別だ。

同じ名前の人を区別するのに『禿げてる方』とか『太ってる方』とか、身体的な容姿で表すことは誰でも一度はやったことがあるんじゃないか?

 

『頭のいい方』

『金持ちの方』

『胸が大きい方』

 

などなど・・・

言ってる方は悪気はないのだろうが、もし本人が聞いたとしたらやっぱりいい気分はしないはず。

 

だったらこれらの言葉は明らかに差別的だ。

私も気をつけなければ。

 

偉そうに言う気はさらさらないが、やっぱ相手の立場になって物事は考えないとダメだな。

さっきの荒井秘書官だってもし自分がLGBTだったなら、自分に向かって気持ち悪いなどとは言わないだろう。

 

冒頭の相合傘の男性カップルは、傍目からはとても幸せそうに見えた。

しかし彼らも跳ね返せないような辛い言葉を、これまで何度も投げつけられたんだろうと思う。

 

二人がさしている傘は、冬の冷たい雨から二人を守っている。

あの傘の下だけは二人は濡れずに歩ける。

 

LGBT理解増進法案が早く可決されて、二人を守るあの傘のようになればいい。

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