かっこいい大人がいたから私はまともな人間になれた

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許してくれる大人

 

ライターでエッセイストの生湯葉シホさんという、とても美味しそうな名前の方が書かれたコラムにたいへん共感を覚えた。

まさに自分のことだと思った。

『見逃してくれる大人』がいてほしい

 

出来の悪い子供時代に、何度かっこいい大人に許されて生きてきたか・・・

私の場合見逃してもらったなどと甘い話ではなく、普通なら許されないことを許してもらってきた過去だ。

 

今思い返してもいろんなことを大人たちが許してくれたからこそ、私も大人になれたし社会人として街に溶け込み東京の隅っこで普通に暮らせているのだ。

忘れもしない小学校2年生のときの話だが、私は万引きという犯罪に手を染めた。

 

おそらくあれが最初の犯罪だったであろう。

ただ、万引きしたのは私の友人の川口くんで、私は彼の万引きを幇助した罪だと思える。

 

川口くんはお金持ちで、いつも半ズボンにアイロンの折り目がついていた。

いわゆるおぼっちゃんである。

私のように、もはや元の持ち主が誰だかわからないようなお下がりを着ている少年ではなかった。

 

私と川口くんは仲が良かった。

喧嘩ひとつすることもない。

 

なぜなら、お互いの境遇があまりに違いすぎると争いごとなどまったく起こらないからだ。

すべてが私の負け。

 

頭もよくて髪型が決まっててお金持ち。

しかもあんな田舎でお手伝いさんがいる家庭など、川口くんくらいじゃなかっただろうか。

 

川口くんにはばあやがいた。

私にはばあちゃんがいた。

似ているのはそこだけだ。

 

しかし、おぼっちゃんという立場もいろいろと大変なことがあるのだろう。

実は川口くんは万引きという悪癖があり、おやつはいつも川口くんが万引きしたものをもらい私は食べていた。

 

子供ながら万引きが悪いことは知っている。

ただ、なぜか川口くんは大人に捕まったことがないのだ。

 

不思議だった。

小学2年生の万引きテクニックなどたかが知れている。

 

しかも毎度毎度同じスーパーでしか万引きをしない。

いい加減バレて捕まってもいいと思うが、それでも川口くんは一度も捕まらなかった。

 

川口くんは堂々とお菓子やパンを盗んでスーパーから出てくる。

それをレジのおばちゃんが知らないはずはない。

レジのおばちゃんだけでなくお惣菜売り場のお姉さんも、青果売り場のおじちゃんも見てないわけはないのだ。

 

それでも川口くんは捕まらなかった。

あとあと知ったのだが、実はそのスーパーの名前は『スーパーかわぐち』だった。

そのスーパーは川口くんのお父さんが経営しているスーパーだったのだ。

 

だから何をしても許されるのか〜。

大人が子供を許す裏には、何か忖度があるのだなと子供心に思った。

 

その後私も成長し、今度は自分が大人に許される経験をする。

 

中学になった私は友人と一緒に近所のうなぎの養殖場へうなぎを捕まえに行った。

この養殖場はただの池で塀もなければ囲いもない。

いつでも盗ってくれと言わんばかりの無防備な養殖場だった。

 

友人と虫取り用の網でうなぎをすくいあげてバケツに入れる。

しかしうなぎは大暴れしてなかなかうまく捕まえられないのだ。

そこへ養殖場のおじさんが『コラーッ!!』と大声を出しながら走ってくる。

 

逃げるまもなくおじさんに捕まってしまい、『何をやってるんだ!!』と怒られた。

私は『うちのうなぎがこの池に逃げたので捕まえてただけだ』と言い張った。

 

おじさんは『何匹逃げたんだ』と聞く。

私は『1匹』と答える。

 

しかしバケツの中にはすでに2匹のうなぎが入っていた。

こりゃ言い訳できない!

 

怒られる!

と思ったがおじさんは・・・

 

『ぺこりんとこはじいちゃんとばあちゃんと3人暮らしだろ』

 

と言ってバケツにもう1匹うなぎを入れてくれて許してくれた。

田舎だから誰がどこの家の子供かなど町中が知っている。

おじさんは私の家が貧しい3人暮らしと知っていて3匹のうなぎをくれたのだ。

 

今思えばあのおじさんもかっこいい大人のひとりだった。

 

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卒業を諦めた高校時代

 

私の高校時代は荒んでいた。

勉強はしない。

部活の時間に登校する。

頭はリーゼント。

 

不良でもないが学校にまったく魅力がなかった。

3年間厳しい部活だけは続けたが、あとは彼女ができたときだけまともに学校に行っていたような生徒だった。

授業は友達の代返でやり過ごしていたが、担任の先生はそれを知ってて何も言わなかった。

 

いい先生だった。

先生は、こんな退屈な田舎から飛び出したい私の気持ちをわかってくれているような気がした。

 

映画館で制服のままタバコを吸ってて補導されたときも先生は何も言わなかった。

補導されたら普通は必ず親に連絡するものだ。

 

しかし先生は私が年老いた祖父母と3人暮らしと知っていた。

年寄りに余計な心配をかけない方がいいと思ったのだと思う。

 

教科書の隅に描いたパラパラ漫画を先生は褒めてくれた。

美大に行けとすすめてくれたのも担任の先生だ。

 

有名美大は無理だからと、勉強しない私でもはいれるような大学を一生懸命探してくれた。

そして推薦状まで書いてくれた。

そんな先生に応えようと、こりゃなんとか卒業だけはしないとと思った。

 

卒業を決める最後のテストであと何点とれば卒業できるか先生に聞いた。

すると先生は『全教科100点だ』と言う。

 

よっしゃ〜!100点ね(´▽`)ノ

 

じゃなくて無理!!!!

 

いやいや、せっかく先生が私でもはいれる大学を探してくれたというのに、いくらなんでも全教科100点は無理だろ。

 

しかし私はとりあえず頑張ってみよう決め必死で勉強した。

当然だが全教科100点はとれない。

でもなんとか70点平均くらいはとれたと思った。

 

結局試験の点数は足りない。

私は卒業できないことがほぼ確実になった。

ところが先生は校長に頭を下げてくれて、春休みのあいだに1日も休まず課外授業を行い追試験を受けられるようにしてくれたのだ。

 

なぜもっと早くから勉強しておかなかったんだと思った。

しかし先生はそんな私を叱りもせず、私ひとりだけのために課外授業をしてくれたのだ。

 

おかげで私はなんとか卒業できた。

そして先生がすすめてくれた大学にもはいることができた。

 

なんてかっこいい先生だったんだろう。

こんな大人になりたいと本気で思った。

 

先生のおかげで私はいい人生を歩めた。

 

ありがとうございます!

 

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追記

 

自分も大人になってみて思うが、日本の子供はなんでも普通にできて平均になるようにモデレートされている気がする。

大人がたいしたことないのに子供ばかりに大きな期待をかけたがるのはやめた方がいい。

たいてい親が期待することと子供のやりたいことはずれているものだ。

 

子供も好きなように生きる権利があるのだから、大人は補助車を外しても自転車に乗れるようになるまで見守るだけでいいのだ。

 

するときっと子供はあなたより立派な大人になる。

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