人の印象って強烈
少し前に高校の同級生と何年かぶりに同窓会みたいなことをやったことがあった。
結構東京にも田舎から出てきた同級生が住んでいて、警視庁のお偉いさんになっている者や会社の社長になっている友人もいて、それぞれいい人生を歩いてきたのであろうと思った。
みな歳をとり、学生だったころの面影などなくなったが、名前を聞けばああ、あいつか〜と何かしら思い出す記憶があるものだ。
その時に集まった同級生から言われて愕然としたのが、高校生の私について誰かがこう言ったのだ。
『ぺこりーの君はさ〜、ラブレターを書くのがうまかったよね!』
すると、そこにいた同級生がみな『そうそう!』と相槌を打つ。
中には実際に私にラブレターの代筆をしてもらった者もいた。
私の学生のころの印象ってそれ?
てか、他にあるだろ〜!
部活で県大会に行ったこととか、バスケの対抗戦で活躍したこととか・・・
しかし、そんな話は一切出てこない。
私の学生時代は、ただラブレターを書いて終わったかのような話である。
しかしそう言われてみれば、中学・高校とよくラブレターの代筆を頼まれていたような気がする。
当時はもちろんスマホもなければメールというシステムもなかった時代だ。
相手に告白するには、直接言うか手紙を書くしかなかったのだ。
ラブレターをいかにうまく書けるかがその後の成功率を大きく左右する。
私がラブレターを書くとみな成功するという不思議な現象が一時起こっていて、それで私は頻繁に代筆を頼まれるようになったのだ。
噂は広まり、そのうち女子にも頼まれるようになったので、だんだん女子の気持ちまでわかるようになっていた。
しかし60を過ぎた今でもみんなそんな印象しか残っていないとは、いかに人の印象が上書きされないものなのかびっくりする。
一度強烈な印象として脳が記憶すると、よほどのことがないとアップデートなどされないのだ。
もうひとりの警視庁の幹部になっている友人の印象など、そいつの家に遊びに行くといつもエロ本を気前よく見せてくれたことしか印象に残ってない。
当時はなかなか手に入らないような洋物のとんでもなくエロいやつだ。
そんなエロ本をどうやって手に入れていたのかわからないが、その強烈な印象は死ぬまできっと上書きされないだろう。
ところがその話で盛り上がると、警視庁の友人はマジに泣きそうになりながら忘れてくれとみんなに哀願した。
そりゃそうだ。
すでに時効とは言え警視庁の幹部たる者が、日本では違法なエロ本を所持していたなどもってのほかだ。
ともすれば現在の地位まで失墜しかねない。
しかしそのエロ本野郎も、当時はまさか自分が警視庁の幹部になるなど思ってもみなかっただろう。
今となっては彼の人生の唯一の汚点となってしまった。
当時、エロ本野郎からエロ本を借りたまま返してないやつがいて、そいつが今度警視庁に返しに行くと言うと、エロ本野郎が本気で怒り出した。
エロの印象は強烈だ。
よく田舎の親戚のおばちゃんが『ぺこりちゃんのおむつは私が替えたのよ〜』などと言いだすが、もう私がおむつを外してから何十年経ってると思っているのか・・・
おばちゃんの印象は、未だ私はおむつをはめている印象なのだ。
おばちゃんに一言言っておきたい。
私はそろそろアテントを履く歳なのだよ。
消えた芸能人
人に見られるのが仕事の芸能人だが、一度何か失態をおかすとこれまたその印象はいつまでも残り続ける。
人気商売だから、一度イメージが落ちるとテレビ局が離れスポンサーが離れ、そしていつか仕事もなくなり消え去ることになる。
2020年もいろんな芸能人が不倫やその他の失態を起こして消え去った。
最近だと特に印象に残っているのは渡部建だが、彼の場合はまだ渦中の人なので消え去るのかどうなのかはわからない。
まあ、先日の会見を見た印象だと消え去る可能性が高い気もする。
少し前になるが成宮寛貴や小出恵介など、役者として成功していたピークの時に消えた印象がある。
成宮さんの場合は薬物疑惑と同性愛までが同時に暴露され、本人も消え去りたいと言い残して本当に消えてしまった。
小出恵介さんは17歳のシングルマザーにハニートラップを仕掛けられて、それで無期限の活動自粛になったらしい。
ハニートラップって本当にあるんだな。
他にも香里奈やベッキーなど、まだ記憶に新しい方達がたくさんいる。
中にはそんなことで干されてしまうの?というような方もいた。
『アナと雪の女王』のレリゴーで有名になったMay.jさんだ。
May.jさんがなぜ干されることになったかというと、当時アナ雪の歌でブレイクしていた年末に、記者からふられた紅白歌合戦の話についてMay.jさんがこう答えたのだ。
『スケジュールは今から空けているし手帳にも仮予定といれている』
その強気の発言が炎上し、極端に露出が減ることになったそうだ。
たったその一言で??
芸能界は怖いところだ・・・
こりゃ、エロ本持っていた過去がバレて、警視庁をクビになるという話も冗談ではなくなるかもだ。
追記
中学・高校とラブレターの代筆ばかりしていたが、それが大人になってある出版社の新人賞に応募して短編小説が佳作に入選した。
その後、本を1冊出版することにもなったし、こうやってまたブログも書いている。
そう考えると、昔から書くことは好きだったんだなと思い知らされる。
実は、35歳で亡くなった私の父は画家だったのだが、画家で生計を立てつつ小説家を目指していたのだ。
現在の熊本大学の文学部を卒業し、小説家を目指していたことは祖父から聞いていた。
父が残した原稿も何度か読んだことがある。
しかし私の記憶にある父の印象は、いつも酔っ払ってバーの高い椅子に私を横へ座らせて、カウンターで寝ている父のことしか印象にない。
父の印象もまた、一生上書きされることはない。
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