死なない薬
以前書いたが、老化を止める成分NMN。
これからどんどん老後の生活は長くなる。
その長い老後を老いることから開放されるために開発された、老化を止める成分がNMNだ。
アメリカから輸入して、私が飲み始めてもうすぐ3ヶ月目である。
さて何かが変化したかというと、最初の1ヶ月くらいはほうれい線が薄くなった気がしたと書いた。
しかしそれは太って顔が丸くなったせいかもしれない。
ほうれい線は薄くなったのではなく、膨張して伸びたのだ。
髪がふさふさになったわけでもなく、相変わらずうすらハゲのまま。
視力も変わらず老眼鏡がなければ眉カットもできない。
記憶力は鶏なみのまま。
体力は中一の女子程度だろうか。
しかし性欲だけはなんだか中二男子並になった気がする(//∇//)
NMNはただの精力剤だったのか!?
どうするんだ!
この無駄な元気!!
しかしやたらと伸びる人間の寿命。
開発がすすむ老化を止める薬。
医療が発展するにつれ、人間の寿命は伸びてきた。
ほんとうに冗談ではなくいつの日か、人間は死なないときが来るのかもしれない。
もしくは死を選択する時代がすぐ目の前に・・・
こういうことを書くとどうしても煉獄さんの言葉がついつい浮かんできてしまう。
そう!
『鬼滅の刃』ファンならすぐにおわかりだろう。
鬼が煉獄さんに向かって『お前も鬼にならないか』と言う。
それはどういうことかというと、鬼は死なないから永遠の命を手に入れないかと言っているのだ。
それに対して煉獄さんはこう答える。
すでに鬼に切られて瀕死の状態の煉獄さんだ。
『人間は老いるからこそ死ぬからこそたまらなく愛おしく尊いのだ』
そうだよな。
煉獄さんの言う通りだ。
医療が発達して永遠の命を手に入れることは、鬼の仲間になるのと同じなのだ。
人間だから老いることも死ぬことも美しい。
そしてはかなく尊い。
私は危うくNMNという鬼の薬に手を出してしまった。
もうこの薬はやめよう。
この歳で中二男子並の性欲は辛い。
いかに自分らしく生きるか
いずれにしろ老後の生活は長い。
ある納棺師という職業をされている方が、こうおっしゃっていた。
納棺師とは棺を納めるプロの方で、それこそ数多な人の死を見送った人だ。
『半年後に自分が死ぬことを意識して生活をする』と・・・
職業柄、見送る側の人たちを見続けてきて、もっとああすればよかったとかこうしてあげたかったと、後から言う人がいかに多いことか。
それで自分は、半年後に死ぬとすれば今何をすべきかを常に考えながら生きているそうだ。
まさに納棺師という死に関わる方の言葉であろう。
半年という期間が設定されていれば、その間にやらなければならないことが具体化される。
たとえばご無沙汰している友人に会いたいと思っていても、いつかいつかと思うばかりでなかなか行動にうつせない。
ほとんどの方がそうだろうと思う。
だから期限を意識することで心を動かそうということだ。
心が動けば体は自然と動くようになっている。
それはよくわかる。
しかし、実際に長い老後の生活の中で、毎日毎日半年後に死ぬことばかり考えて生きていけるだろうか?
死ぬことなどこれっぽちも考えたくないのが人間だ。
毎日毎日死ぬことを意識していては、そのうち本当に死期が早まりそうな気がする。
いつ死ぬかわからない。
だから生きていけるし、常に未来に希望ももてるのではないだろうか。
もしかすると自分の未来は明日1日しかないのかもしれない。
しかし、それを知らなければ明日も爽やかな朝を迎え、おいしい朝食を食べて、今日は何をしようかしらと考えてワクワクした1日が過ごせる。
それが明後日死ぬことがわかったとたん、明日という1日をどんな気分で過ごすだろうか。
考えただけでも気が滅入る。
一番大事なことは、明日1日が自分らしく生きれるかどうか。
人生に限りがある限り、少なからずやり残すことはあるだろう。
しかし、形があるものが壊れるのはだいたい突然のことである。
すべてには終わりがあるから心に残る。
人の命も同じ。
花は枯れ、酒は飲み干され、グラスは割れ、記憶は消え、人は死ぬ。
それでいい。
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