願いが叶ったことなど一度もない

みなさんは今、何か願い事がありますか？

若い方達はたくさんありますよね。

 

志望校に合格しますように！

もっと身長が伸びますように！

部活で県大会に行けますように！

マラソン大会が雨で中止になりますように！

席替えであの娘が隣になりますように！

フォークダンスであの娘の手を握れますように！

あの娘の縦笛を舐めたことバレませんように！

転生したらあの娘が座っている椅子になれますように！

 

もうなんでもかんでも願い事だらけ・・・

 

しかも若い頃の一番の願いごとは、やっぱりあの娘のことでしたよね？

アオハルか！

しかしみなさんは、そんな願い事が叶ったことなどありますか？

私は過去を振り返ってみても、願い事が叶ったことなど一度もないんですよね〜。

 

あの娘の椅子にもなれなかったし・・・

 

私も子供時代には願い事がたくさんありました。

今でも覚えていますが私が子供の頃焼いた肉のことを、ステーキって呼ぶんだとテレビで見て初め

て知りました。

 

その日から、あのうまそうに焼けた肉の塊を食べてみたくて、いつも寝る前に夢にステーキが出て

きますようにと願いながら寝たのを覚えています。

 

しかし周りを海に囲まれた島では、焼けた肉の塊が食卓に上がることはありません。

ばあちゃんが焼いてくれるのは、来る日も来る日も焼き魚オンリー。

たまに作ってくれるカレーには、肉の代わりにちくわが入ってました。

 

この歳になって、みなさんに食べすぎだって言われるくらいに私がモリモリ食べてるのは、

あの子供時代の反動かもしれません。

 

成長期きた？

 

中学になると担任の先生が引率して、クラス全員の生徒が映画館まで行って映画を見るというイベ

ントがありました。

 

映画のタイトルは忘れましたが、田舎では娯楽がないからかたまに学校ぐるみでそういうことをや

ってましたね。

 

映画はきっと中学生のためになる映画だったんだと思います。

しかし私は映画代が払えず、みんなと一緒に映画を見ることができませんでした。

 

面白い映画じゃないから別に見れなくてもよかったのです。

ただ、友達と一緒に映画館に行くことがすごく楽しみでした。

 

私が映画を見たかったとじいちゃんに何度も言ったところ、じいちゃんはどこからか映画代を工面

して別の日に私を連れて映画館に行ってくれました。

 

じいちゃんありがとう！

 

でも、私は映画が見たかったんじゃなくて、あの日に友達と一緒に映画館に行ってみたかったん

だよ。

じいちゃんとこんなクソつまんない映画を見たかったわけじゃないのに・・・

 

じいちゃんの気持ちは嬉しかったけど、自分の人生はそんな小さな願いすら叶わないんだなと思い

知らされた中２の夏でした。

 

そして高校になるとなぜかバレンタインデーが大ブームになってました。

女子からチョコをもらった男子は、学生服の胸ポケットにチョコを突っ込んで見せびらかすという

のがステイタス！

 

今考えると恐ろしく趣味の悪いブームですが、当時は胸ポケットにチョコを入れてない男子は高校

生にしてすでに人生の敗者。

 

あなたは一生童貞ですと宣言されたようなものでした。

 

私も誰か一人くらいチョコくれよと願いましたが、そもそも学校にあまり行ってない私のことを知

っている女子がどれくらいいたのか・・・

 

バレンタインデーの日だけ登校したところで当然チョコをくれる女子などいないわけで、仕方がな

いので私はチョコの空箱を学生服の胸ポケットに突っ込んで、バレンタインデーを乗り切ってま

した。

 

懐かしい思い出ですが、それにしても人生ってこんなにも願い事が叶わないものなのか・・・

もしかすると叶ったことが一つくらいあったのかもしれないですが、まったく覚えていないくらい

小さな願いだったんだと思います。

 

そしてこの歳になってふと気づいたことが・・・

そういや最近は願いたいことが何もないなということ。

神社に行こうが・・・

七夕が来ようが・・・

流れ星が流れようが・・・

 

願いたいことが何もない。

若い頃にはあんなにたくさんあった願い事。

 

67年生きてきて、目に見えない何かに願ったところでなんの意味もないと悟ったのかもしれません。

あるいはどうせ願いは叶いっこないと諦めたのか・・・

 

思えば妻の容体が悪くなった時に地元の神社に何度もお参りに行き、神主さんに特別祈祷もお願い

しました。

 

妻が入院してからは若い担当医に何度も頭を下げ、なんとか命だけは助けてほしいとお願いしました。

でもやっぱり願いは叶いませんでした。

 

若い医者は最善を尽くしてくれたんだと思います。

しかし神はいつまでも沈黙のまま・・・

私の声が届いたのかもわからない。

 

きっとあの日から私は願うことをやめたんです。

あれから初詣にも一度も行ってません。

七夕の日に夜空を見上げることもなくなり、流れ星が流れても気づきもしません。

 

願ったところで戦争だって終わらない。

 

世界中の人が平和を願っても、永遠に平和な世界などやってこない。

 

私一人の願いごとどころか世界中の願いも叶わないのです。

 

戦場の兵士が持っているのがもし銃じゃなくてギターだったら・・・

 

そんなことを願っても

 

神はいつも沈黙