人生は後悔ばかりと言う男
60歳という年齢は、人間にとってはひとつの節目の年齢だと思う。
男も女も同じように60歳を迎えるのだろうが、男の場合は女よりもこの60歳という年齢は特別な感じがする。
男の50代はまだ仕事も現役だ。
男は仕事が現役のあいだは人生の目標もあり、やるべきことが目の前にあるし、会社からも必要とされているという実感がある。
家庭においても、まだ自分が働いて家族を養っているという自負もあるから、『風呂!メシ!寝る!』と言ってられる。
しかし60歳を越えたとたん、会社からは再雇用の話が持ち上がり、家庭でも奥様からこれからどうするのよ!と詰め寄られ、風向きがいきなり変わったことを感じるようになる。
同じ年代の社員たちが広めの会議室に集められる。
そこで再雇用制度や退職後の働き口、その他諸々の手続きなどについて十把一絡げに説明を受ける。
ホワイトボードを前にマイクで説明をしているのは、今まで部下だった女子社員だ。
たった1日で立場は逆転し、部下の女子社員に今後の身の振り方についてアドバイスを受ける立場になってしまっている自分がいる。
そこから男は焦るのだ。
部下の社員たちからもらった小ぶりな花束を抱え、会社人生最後の日の帰り道をトボトボと帰路につく男。
男は急にこれまで歩んできた人生を振り返り出す。
その中にはいくつか後悔の念が炙り出される。
あのときこうしていれば・・・
この先また今の会社に再就職して、以前とは違う窓辺の小さなデスクで仕事を続ける自分。
もう誰もお茶もいれてくれないし、ひょっとすると部下だった社員のお茶を自分がいれなければならないかもしれない!
そんなことをぐるぐる考えていると、『後悔』という言葉がどんどん大きくなって、自分の人生は大失敗だったのではと思い始める。
あのときこうしていれば、もしかすると今頃は役員に抜擢されて経営側としてずっと仕事ができていたかも。
いやいや、子会社の社長くらいにはなれていたかもしれない。
そんなことを考えだすと、いくらでも後悔する出来事は思い浮かんできて、もう取り止めもつかないようになる。
男は仕事がなくなると本当に哀れだ。
人生は選択の連続
誰の人生も選択の連続だ。
以前TVドラマで『素敵な選TAXI』というドラマがあった。
芸人のバカリズムさんが脚本を書いて、主演は竹野内豊さん。
ストーリーは人生の選択を間違えた人たちが、竹野内豊さんが運転手のタクシーに乗り、誤った選択をやり直す過去まで戻れると言うストーリーだ。
内容はコメディなので面白かった。
そんなタクシーがあれば私も乗ってみたい。
しかしドラマの中では、何度過去に戻って違う選択をしても結局結果は失敗に終わるというストーリーなのだ。
人生の選択とはそういうものであろう。
『後悔』とは、自分が決定した結果が思わしくなかったから、過去に戻って別の決定をしたいという気持ちである。
では、先ほどの『選TAXI』のように過去に戻れたとしよう。
そして別の選択をしたところで、その結果が必ず良い結果になるという保障などないのである。
むしろ、今の結果の方がよかったという可能性だってある。
では今の結果を後悔して、悔い悩むことになんの意味があるのだ?
結局はどの人生を選んでも、その後の自分の努力で険しい人生の道を切り開いて、自分が望む人生の結果を得るしかないのである。
仕事がなくなっていろいろ悔やんでいるお父さん。
あなたも不安かもしれないが、家に帰れば愛する奥様が待っているではないか。
長年働いてきたあなたをいつも支えてくれたのは、あなたの奥様である。
奥様はあなたよりもずっと不安な気持ちで待っていると思う。
早く帰って『心配するな、この先も俺について来い!』と迷わず言ってあげてくれ。
その選択は一生後悔することはないはずだ。
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