ひとり負けどころか真逆の話
円安に物価高騰、上がらない賃金、頼りない政府。
今の日本をみなさんはどう思っているだろうか。
とてもじゃないが、今日のブログのタイトルのように『日本が世界でひとり勝ち』するような状況にあるとは思えないのではないだろうか。
むしろ世界でひとり負け状態なのが今の日本で、夢も希望もないと思っていらっしゃる方の方が多数と思われる。
私も実際にそう思っていた。
だってニュースではどの局の経済部の解説者も口を揃えて『また円安を更新しました』、『消費者物価指数はまた上昇しました』しか言わない。
そして街頭でのインタビューでは、生活に困窮する家族の声や円安に苦しむ輸入産業の経営者の声ばかりがクローズアップされる。
そんなのばかり見せられて、それでも今の日本が世界でひとり勝ちしているなんて思える国民は、よほどの経済通か鬼のような負けず嫌いかのどちらかだろう。
ところが!
その円安の日本が、ひとり負けではなく真逆の世界でひとり勝ちするということを、わかりやすく説明してくれている人がここにいた!
その方のお名前は小幡績さんというお方である。
何をなさっている方かというと、慶應義塾大学大学院准教授という肩書きをお持ちの方なのだ。
ご専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンスという経済学者の方である。
今日はその経済学者の小幡さんのコラムについてわかりやすくまとめてみた。
インフレについて
世界中が今インフレである。
欧米をはじめとした世界中の中央銀行が政策金利を上げていることはみなさんもご存知だろう。
先日お笑いタレントのなかやまにんに君が、ハワイのフードコートで物価を調査した動画が公開されていた。
9月14日の日付だからまだつい先日の話だ。
それによるとなんと!
ラーメンと餃子で5000円を超える値段なんだそうだ。
しかも超高級なチャイニーズレストランでもなく、ただのフードコートの値段なんだそうだ。
ちなみに日本の場合だと、餃子の王将でラーメンと餃子を注文すると税込で814円というお値段で食べられる。
実は餃子の王将も2022年4月には多くのメニューを値上げしているのだ。
餃子1人前だと税込242円が264円に上がった。
しかしハワイに比べればなんとも可愛いものだ。
このことからもわかるように、日本は世界で唯一インフレが起きていない国なのである。
イギリスの企業物価は年率10%も上昇している。
アメリカが年率8%。
それに比べ日本はまだ2%程度ということで他国とは比較にもならないほど低い。
そして世界経済はスタグフレーション(経済が停滞する中での物価高)が避けられず、今後『長期停滞』する可能性が高い。
ひとり負けと言われている日本だけが真逆のひとり勝ちをする理由がここにもある。
特に世界中のエネルギー価格が高騰するなか、日本はというと電気料金が段階的にしか上げられないような仕組みを政策的に実施しているため、電力会社はおいそれと電気料金を上げられない。
国内でも電気料金が上がった上がったと大騒ぎしている人もいるが、実は世界に比べれば微々たるものなのである。
例えばイギリスなどは、1世帯あたりの年間エネルギーへの出費が100万円を超えるという試算が発表されており大騒ぎどころの話じゃない。
その結果、日本の物価は安定しており日銀は慌てて政策金利を引き上げる必要もなく、現状維持でのほほんとしているのである。
世界中で日本ほどのんびりしている国はないと小幡准教授も言っておられる。
賃金について
日本の労働者の賃金については、私はもっと上がることが理想だろうと思っている。
2%の物価上昇でも家計が逼迫するのはそれは賃金が上がらないからであって、物価も賃金も比例して緩く上がり続けてこその成長ではないだろうか。
しかし現在の急激なインフレの状況下においては、賃金は上がらない方がいいそうだ。
特にスタグフレーションリスクが予想されている世界経済では、賃金は上がらない方がいい。
現にアメリカなどは賃金を抑えるために政府は必死になっているとのことだ。
日本は賃金が上がらないからいいと言われても、はいそうですかとは素直に喜べない。
しかしどうやら今の経済の危機的な状況下では、日本はとても安定していて日銀が慌てて金融引き締めに走る必要もなく緩やかな景気拡大を続けているのだそうだ。
経済学者が言うから間違いないのだろうが、この日本の恵まれた状況をもっと評価すべきだと小幡准教授は述べられている。
世界一と比較する必要があるか
それにしても30年も賃金が上昇しないというのは異常だろう。
これでひとり勝ちと言われたところで『同情するなら金をくれ!』と言いたくなる。
今だからこその低賃金がよしとされるのはわかるが、この日本の10年を見ても明らかに賃金も物価も低迷し続けた。
まあその理由は非正規雇用という日本独特の働き方のせいだろうと思うが、これを解消するには非正規雇用をなくし賃金の一本化を実施しなければ、いつまで経っても賃金は上がらないと思う。
世界的にはユニコーン企業と呼ばれる企業が1000社以上輩出されてきた。
ユニコーン企業とは「評価額が10億ドルを超える、設立10年以内の未上場のベンチャー企業」のことである。
2022年3月時点だが、ユニコーン企業数の国別ランキングはこのようになっている。
引用:いろはに投資
しかし日本はどうだ。
実は日本のユニコーン企業はまだ10社しかない。
それほど今の日本はイノベーションというものが起こりにくくなっている。
優れた技術革新により新しいマーケットを創出していく。
昔は日本こそがイノベーションを多く起こしてきた国ではなかったのか。
まあそうは言えども現実は今の日本である。
しかし小幡准教授は、そんなことを世界一と比べてどうするとおっしゃっている。
イノベーションは世界一のユニコーン企業数を誇るアメリカと比べ、社会保障はスウェーデンと比べ、そして市場規模は中国やインドと比べる。
そうなると今は日本も勝てないに決まっている。
なんでもかんでも世界一と比べてもそりゃ無理だ。
しかし日本の経済は変化やダイナミズムには欠けているが、それでもオイルショックの物価高騰を抑え、リーマンショックでも失業率を抑え、そしてこのコロナ禍でも失業率は欧米に比べ低い。
この日本の安定性をもっと評価すべきであり、なんと言ってもこれから世界で日本がひとり勝ちするのを褒めてあげようではないか。
本当にそうなるのであれば・・・
それなら岸田内閣の支持率ももう少し上がっても良さそうな気もしてきた。
それにしても、なぜこういうことを政府はもっと国民に向かってアナウンスしないのだろうか?
そこがいつもいつも不思議に思う。
コメントありがとうございます! いつもコメント楽しみに読んでいます。 しばらくお返事ができませんがコメント頂けたら嬉しいです!
とてもわかりやすいお話で、参考になりました。
実は私も最近の日本の行く末に不安ばかりで
なぜ日本はなにも対策を打たないのだろうかと不満に思っていました。
マスコミはなぜマイナスな報道しかしないのでしょうか?
小幡績さんの話がもっと拡散されればいいのにと思います。
なにもしない日本というわけではないこと
偏った報道ではなく、広い視野での報道をして欲しいですね。