私は幼少期から
祖父と祖母の3人暮らしだったので
子供の頃から年老いた2人を
間近で見て育ってきた
祖父は一日中広い畑で農作業をし
祖母は畑で取れた野菜や果物で
いろんな保存食を作っていた
びわの成る頃には
大量のびわを煮てジャムを作ったり
梅の実が実る頃には
梅干しを漬け
葡萄棚にマスカットが成る頃には
葡萄酒まで密造していた
違法だという認識もなかったのだと思う
なぜなら
あんなにこやかな顔をした
犯罪者は見たことがない
とにかく2人はよく働いた
そして2人は夜になると決まって
肩や背中にお灸をすえていた
あのお灸というものが
子供の私には実に不思議だった
皮膚に直にもぐさと言われる
不思議な草を置いて
それになんと火をつけるのだから
初めて見た時は何かの儀式かと思った
祖父母の体内にはきっと魔物がいる
なぜそんな罰ゲームみたいなことをするのか
2人に聞くと
どうやらそれで体の痛みがとれるのだとか・・・
しかし2人ともお灸のたびに
熱い熱いと悶えていたから
やっぱり私にはエクソシストにしか見えなかった
痛みをとるために熱さに耐える・・・
今でもよく意味がわからない
それにそのお灸をすえる人も
医者でも神父でもなんでもなく
近所のおじさんが来てやってたから
正式な治療行為とも思えない
なんか今でもとても記憶に残っている
昭和のアメイジングで
狂気の光景だ
私は長い間
老人と暮らしていたためか
老いというものにとても興味があった
自分も歳をとったなら
熱い熱いと悶えながら
お灸なるものを
背中にすえたりするようになるのだろうか?
梅干しをつけたり
ジャムを作ったり
ニコニコ笑いながら
葡萄酒を密造したりするのだろうか?
そしてとうとう私も
あの頃の祖父と祖母の年齢になってしまった
実は長い時間をかけて
ようやく2人のことが理解できたことがある
それは歳をとると
本当に間違いなく
体のあちこちが痛むということだ
祖父と祖母の家系だから
私の体が痛むというわけでもないらしい
世の中の老人が
勢いよく体を動かせないのは
みんな体が痛いからである
歳をとるって
人生の謎が解けるから
ほんと面白い
昨年の暮れあたりから
右手のテニス肘が痛くて
しばらくYouTubeの更新ができないかもと
みなさんにご報告をしたことがある
ところが年が明けてしばらくしたら
いつの間にかあんなに痛かったテニス肘が
痛くなくなっていた!
ある方のコメントで気づいたのだが
そういやいつの間にか痛みが消えていたのだ
痛くなくなったことに気づきもしないなんて・・・
どうなってんの?
面白いな〜
そして今は腰が痛い
朝起きた時が特に痛い
それがしばらく動いていると
痛みもおさまってくるから不思議だ
理由はなんとなくわかっている
私が寝ているせんべい布団のせいなのだ
先日長野に旅行に行った時に
ホテルのシモンズ製のベッドで寝た時は
朝目が覚めても腰が痛くなかったからだ
じゃあベッドにしろよと言われそうだが
ベッドは老犬になったゆいまるくんが
飛び乗ったり降りたりするので
とても危険だと思い
3〜4年前に捨てたのだ
だからあえてのせんべい布団だから
もう私はこの痛みに耐えるしかないのである
しかしどんなに体が痛くても
さすがにお灸はやらないだろう
なんならジャムも梅干しも作らない
畑仕事もしないし
密造酒なんて作らなくても
スーパーに行けば
安いワインはいくらでも売っている
思えば私の祖父母の時代と今とでは
年齢は同じでも
老人の暮らし方は大きく変わった
今、私はオープンカーに乗って
動画を撮影して
YouTubeを更新して
毎晩アニメを見ながら酒を飲んでいる
私がお灸の光景を見てびっくらこいたように
祖父母ももし私の今の光景を見たなら
ひっくり返るだろう
ただあの頃と同じなのは
歳をとると体のあちこちが痛むことだけ
こればかりは私の娘や孫が
私の歳になったとしても
きっと変わらないのだろうな
普遍なる老いの洗礼だ
じいちゃんにばあちゃん
でも今は熱い思いをしてお灸なんかしなくても
ロキソニンを飲めばいいんだよ
あと酒だな
酒を飲めばだいたいの痛みは感じなくなる
酒が私の薬だ
まあ、私も老人をやるのは初めてなので
よくはわからんけど
もうすぐ夕方の4時
さあ今日も
薬を飲む時間がやってきた
コメントありがとうございます! いつもコメント楽しみに読んでいます。 しばらくお返事ができませんがコメント頂けたら嬉しいです!