社長も金持ちも歳をとればみんなヨボヨボ
少し前の話だが、私は表参道駅を出て地上への階段を上がり青山通りを外苑前駅の方へ歩いていた。
すると遠くにどこかで見たことのある顔の男性がコーヒーを飲んでいた。
そのお店は屋台のようなお店で、お店の窓際の小さなカウンターでコーヒーが飲めるようになっている。
コーヒーを飲んでいる男性にさらに近づくと、間違いなくその人物は私が以前お世話になった会社の社長だった。
もう10年以上になるだろうか。
久しぶりに会った社長はなんだかもうヨボヨボだった。
現役時代はおしゃれでカッコ良かったが、60歳も後半になるとこうなっちゃうのか!とちょっと驚いた。
その社長と一緒に上場記念の鐘を鳴らしたのが懐かしく思い出される。
それにしても現役を退いてしまうとただの老人だな。
私が挨拶してもなんだかちょっとテンポが遅い。
老人特有のあの亀のようなレスポンスだ。
上場会社の社長だったのだからもう金はあるだろうし悠々自適な生活だと思う。
社長退任後はいろんな名誉職などされていたと聞いていた。
しかし今のこの姿はどうだ。
これがあのバリバリ仕事をしていた人と同一人物なのか?
そんな疑念すら覚える変わりようだった。
60歳も後半になると現役時代に大成功した人も、ずっと平社員で定年を迎えた人もあんまり差はないような気がする。
金があろうがなかろうがもうたいして体力もないから、あまり金を使うところがない。
金を使うには体力が必要なのだ。
しかも世界中がこのコロナ禍である。
銀座のクラブも閉店中だから高い酒が飲めるわけでもない。
お店が開いてても綺麗なお姉ちゃんはアクリル板の向こう側にしかいない。
肩も抱けないのに高い金を払う気にもなれない。
金儲けして買ったでっかい家もそろそろ修繕しないと壁が剥がれそうだ。
家がでかいだけによけいに目立つ。
自分で修繕しようにも、もう体がいうことを聞かない。
都心に近い賃貸マンションの方がよほど楽で便利だと最近思い出す。
成功のステイタスのような高級車も、昔のように乗り回すわけにはいかない。
世の中の目が『アクセルとブレーキを踏み間違えるなよ』『首都高を逆走するなよ』と言ってるように見えてしょうがない。
だからガレージで埃を被ったままだ。
きっともうバッテリーもあがっている。
こうやって考えてみると、競争社会で人生の勝ち負けを気にするのは50代までじゃないだろうか。
60歳を過ぎてまだまだ現役という方も多いだろうが、その年で若い社員と競争したところでその先に何がある?
男だったら特に仕事では負けたくないだろう。
家族に少しでも楽な生活をと思いとにかく稼ぐために仕事を頑張ってきた。
そのためには勝ち残らなければならないといつも自分に言い聞かせてきた毎日だろう。
その気持ちはよくわかる。
しかしそれで勝ち得た地位と名誉とお金は、老いとともに昔の価値を失い体力とともに意味をもたなくなってくる。
肩書きがなくなった男はただの老人だ。
だから今競争社会のど真ん中で日々頑張っている若い企業戦士のみなさん。
あなたが部長になろうが平社員のままだろうが、歳をとればみんな同じ老人という括りの中で暮らすことになる。
そこそこ生活できる金があれば、過去の勝ち負けなどいずれそんなに意味を持たなくなるから、あまり頑張り過ぎないようにしてほしい。
競争で勝つことより実はもっと大切なことがある。
それに気づかない人の方がきっと人生では負けだ。
老後のライフスタイル
先日豪徳寺の和食器店『うつわのわ田』さんで買った食器たちだ。
最近は食器も100均かネットばかりで買っていたが、久しぶりにお店で手にとって購入した。
買おうと思ったのはこのザルを見たから。
トラフ竹という高知県は四万十川の一部にしか生息しないたいへん貴重な竹で作られている。
ステンレスの部分も手作り。
馬蹄の形をしているのは使いやすさを求めた形だそうだ。
足がついているのでただのザルではなく器として使えるのがいい。
こちらの器は福岡県の小石原焼きである。
私も何度も行ったことがあるが、この器は『鬼丸豊喜窯』という窯の作品らしい。
美しい刷毛目が特徴でモダンな和食器という感じ。
こちらはいかにも琉球の器という風合いだ。
沖縄県大宜味村にある『のぼたん窯』という窯で焼かれている。
沖縄の器はいかにも民陶という感じで普段使いできる。
このグラスも琉球ガラスで『ガラス工房清天』の作品。
焼酎のロックグラスにと思って買ったが独特のうねりのあるデザインが気に入った。
琉球ガラスはどれもずっしりと重みのあるのが特徴だが、手に持った感じがとても柔らかくて大好きだ。
老後のおひとりさまごはん
昨日の朝食はソーセージエッグ丼、醤油とごま油で焼きかぼちゃ、キャベツの塩揉み、ナスとみょうがの味噌汁。
どうだ。
朝から目玉焼き2個だぞ。
ヨボヨボになったらこんなことはできない。
ランチはなみなみスープの博多ラーメン。
博多ラーメンはスープがなみなみのお店が多い。
有名なふくちゃんラーメンなどその最たるものだろう。
なぜなら替え玉文化の博多ラーメンだから、そのためにはスープが多めの方がありがたい。
替え玉してスープが足りないほど悲しいことはない。
だからこのなみなみスープに憧れる。
晩ごはんは豚のしょうがやき、ナスとズッキーニのオイスターソース炒め、きゅうりの麻辣漬け、サラダバー。
この生姜焼きの肉は先日行った新宿のデパ地下で買ってきたもの。
人生にもし勝ち負けがあるとするならば、仕事でも稼いだ金の多寡でもなく家のサイズでも車の値段でもなく・・・
いかにうまい酒を飲んでうまい肴を食ったかで決まるんじゃないか?
そしてその酒を誰と一緒に飲んだのか。
誰と一緒に飯を食ったのか。
きっと人生で幸せを感じる瞬間とはそこに一番凝縮されている気がする。
私は30年間嫁と酒を飲んできた。
本当に幸せだった。
コメントありがとうございます! いつもコメント楽しみに読んでいます。 しばらくお返事ができませんがコメント頂けたら嬉しいです!
とてもいいエントリーでした。考えさせられました。ありがとうございます。
ぱるぱるさん
初コメントありがとうございます!
何か伝わるものがありましたか?
こちらこそ拙いブログを読んでいただきありがとうございます。
またぜひ遊びにきてください。
お待ちしております。
とても共感できました。
本当にその通りですね。
今年の夏に、夫が東京に転勤になりました。
それまでは、毎週末、夫婦2人で外食して(昼飲み)楽しんでいました。
楽しかったなぁ。
熊本ですので、なかなか気軽に帰って来れません。
気の合う人と、おいしい料理をいただき、お酒を飲む。
本当に一番幸せなことだと思います。
ぶんさん
初コメントありがとうございます!
熊本にお住まいですか?
私の母は今も熊本に住んでます。
昨日大黒のラーメンを友人にもらったばかり。
懐かしいな〜。
ご主人は東京ですか。
寂しいですね。
でも今は貴重なひとりの時間を楽しんでください。