年金分割制度
今まで年金のことは、自分のリアルな年金額を含めたくさんブログに書いてきた。
しかし離婚をした際の年金分割についてはこれまで書いたことがないと気づいた。
私は日本年金機構の職員でもないので特に年金の情報を網羅する必要もないのだが、実はちょうど私の知人の50代の女性が離婚してしまったのだ。
そして年金分割の手続きをしていると言うので、知人の女性の情報も参考にして書くことにした。
しかし彼女の話を聞くと熟年離婚はかなり大変である。
そのことも書こうと思うがまずは年金分割の話だ。
うちはラブラブだから離婚など関係ないわとおっしゃる方も多いだろう。
しかし日本の離婚率は35%に達している。
あなたはラブラブでも3組に1組が離婚する時代だから、兄弟や知人・友人まで含めると、あなたのまわりの誰かは離婚する確率が高いということだ。
だったら勉強しておくのも悪くない。
そもそも年金分割とは、会社員や公務員のように厚生年金に加入していた夫または妻と離婚する際に、相手の年金の一部を自分の年金に分けることができる制度のこと。
日本の年金はよく2階建てと言われるが、図のように国民年金と言われる基礎年金の部分と、会社員や公務員が加入する厚生年金があるのはご存知だろう。
年金分割制度の対象となるのは、この図の第2号被保険者と第3号被保険者である。
先程の私の知人の女性は専業主婦だったので、この図の第3号被保険者ということになる。
なぜ年金分割の制度が誕生したかというと、もし夫婦が仲睦まじく離婚もせずに65歳を迎えたとしよう。
すると当然だがいただける年金は2人で使うことになる。
しかし離婚してしまったらどうだ。
仮に専業主婦として頑張ってきた奥様の方は、夫の年金はまったくもらえないということになってしまう。
長年にわたり、働くご主人を支えてきたのは奥様である。
その奥様が離婚した場合、年金がまったくもらえないというのではあんまりだろうということでできた制度なのだ。
それでは次に年金分割にはどんな方法があるのか説明しよう。
『合意分割』と『3号分割』
まずは下の図をご覧いただきたい。
これが年金分割の2つの方法であり、またその違いについても表している。
年金分割制度には合意分割制度と3号分割制度の2種類があり、それぞれ以下のような内容になっている。
合意分割制度とは、夫婦それぞれが厚生年金に加入していた場合、双方の保険料を比較してどちらか多い方が少ない方へ年金を分ける方法のこと。
その割合は夫婦の話し合いで決めることになっているから合意分割制度という制度名なのだろう。
そしてもうひとつの3号分割制度だが、こちらは奥様が専業主婦として配偶者の扶養になっていた場合の制度である。
この制度は合意分割制度よりも新しい制度なのか、対象期間は平成20年4月1日以降となっている。
だからこの日以降の専業主婦であった期間が対象となるので、これ以前に第3号被保険者だった方は含まれない。
ではおおよそいくらくらい分割されるのか。
みなさんその額を知りたいだろう。
ただ、これはいろんな条件によって変わるので、実際にはお住まいの年金事務所でお尋ねになることをおすすめする。
ここでは目安となるざっくりとした金額をお伝えしておく。
夫もしくは妻が平均的な賃金だったとした場合、分割できる厚生年金はおよそ4万5000円となる。
実際にはどれほど婚姻期間があったのか、あるいは賃金による受給額の差などを考慮すべきだが、詳細についてはここでは割愛する。
これがざっくりとした年金分割制度の概要である。
これから離婚を考えられている方がおられたら、双方で年金のことまで話あっておくことが必要だ。
勢いで離婚してしまって、老後に泣くことにならないようにご注意いただきたい。
離婚を考えている方へ
先程の離婚した友人の話を聞くと、離婚は『財産分与』『公正証書』『年金分割』がセットになっていると言っていい。
この3つの手続きを経て晴れて離婚となるわけだが、これがなかなか大変なのだ。
友人は離婚にあたって弁護士を雇っている。
弁護士はもちろん費用がかかる。
まず着手金で30〜50万程度。
そして離婚が成立すると、財産分与された金額の20%程度を成功報酬として支払う。
さらに、相手との交渉などで要した時間が日当として請求されるばかりか、タクシー代、コーヒー代、食事代などなど必要経費のすべて請求される。
知人の女性は1000万以上の現金が財産分与されたので、弁護士への支払いも相当な額だ。
離婚が成立するまでにかかった期間は1年弱。
この期間にかかった経費もバカにならない額だったようだ。
それでも弁護士の話ではたいへんスムーズに解決した方らしい。
まず財産を分けるのは誰が考えても揉めそうな話である。
今は離婚が多いので公正証書役場も予約がなかなかとれない。
時間もお金もどんどんかかるので、そのうちよりを戻してしまう夫婦も多いらしい。
さて、それでもあなたは離婚するか?
夫婦にも熟成期間
チーズは牛乳からできる。
誰でも知っていることである。
あのサラサラの牛乳が、発酵と熟成を経て美味しいチーズへと生まれ変わるのだ。
私は夫婦も同じようなものだと思っている。
夫婦も熟成すると仲睦まじい味のある老夫婦にもなれるし、いずれ人生の意味も知ることができる。
これからが美味しくなる時間というときに夫婦をやめてしまっては、もう一生うまいチーズも食べれないし人生の意味も知ることはない。
なんてもったいない話だ。
2人で年金がもらえるまで生きてこれたことに感謝しながら、仲良く支え合って生きる老後はどんなチーズよりもうまいと思う。
チーズは嫌いだと屁理屈を言う方。
そこはバターに替えて読んでくれ。
そして年老いて、いつかは否が応でもどちらかひとりになるのだ。
慌てることはない。
年金は分割できても思い出までは分けられない。
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