65回目のクリスマスイブにまさか筑前煮を作るとは・・・

料理
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里芋と蓮根

 

例年12月中旬になると、世田谷区では世田谷ボロ市というイベントが行われる。

ボロ市とは400年以上の歴史がある催しで、その昔、農民がボロ布を持ち寄って売り捌いたのが始まりらしい。

 

ボロ布を何に使うかというと、農作業の時の作業着やわらじに編み込むとたいへん丈夫になるということで、盛んにボロ布が取引されたのだそうだ。

私も世田谷区に引っ越してきてもうすぐ6年が経とうとしている。

 

コロナ禍前の年に初めてボロ市に行ってみたが、まあ古い骨董の類はあるもののボロ布のようなものはさすがに売られてなかった。

まあわらじを履く時代ではないから、この歴史ある催しも時代とともに姿を変えたということだろう。

 

そのボロ市はコロナで2年連続で中止となっていたが、今年は3年ぶりの開催ということで私も二日間の開催日の両日とも足を運んできた。

二日も歩き回って何を買ったかというと、韓国人がやっているお店でキムチを大量に買い、そして熊本県のお店に立派な里芋が並んでいたので里芋を買った。

 

そして歩きながら長崎名物の揚げ物をつまみにビールとハイボールを飲んだ。

ボロ市らしい古い陶器や古着には一切目もくれず、わざわざボロ市じゃなくても買えそうなものだけ買って帰ったのだ。

 

キムチと里芋ならうちの目の前のスーパーで売ってるじゃないか。

そして冷蔵庫には大量の里芋が・・・

 

キムチはとても美味しかった!

さすがに韓国人が作るキムチはうまいな。

 

ところで里芋はどうするんだ?

と思っていた矢先に、なんと友人が大きな節が2つもついた立派な蓮根を私にくれた。

 

なぜ蓮根なのか、友人が何か理由を言ってたがよく聞いてなかった。

私の頭の中は、ボロ市で買った里芋とこの蓮根をどうするかということでいっぱいだったのだ。

 

そして10日ほど日が経ち、昨日はクリスマスイブ

世の中がクリスマスで浮かれているころに、私は一人黙々とあの里芋と蓮根で筑前煮を作っていた。

 

よりによって、なぜクリスマスイブに筑前煮なのか・・・

それは私にもわからない。

 

ただ、クリスマスイブの日に筑前煮のスイッチが入ったということだ。

それも大量に。

 

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筑前煮とがめ煮の違い

 

筑前煮やがめ煮以外にも煮しめと言ったり煮物と言ったり、地方によっていろんな呼び方をされるが、筑前煮という呼び方は福岡の筑前地方が発祥だ。

がめ煮とは何が違うかというと、筑前煮は鶏肉などの具材を最初に油で炒めてから煮込む。

 

方やがめ煮は油で炒めたりはしない。

まあ私も九州の出身で福岡には10年ほど住んでいたので、やっぱ根菜類を煮る料理と言えば筑前煮ということになる。

 

実は死んだ嫁も生前はよく作ってくれた料理だ。

いや、だから今でも私も作っているのだろう。

 

筑前煮は先ほど書いたように最初に油で炒めるから、やはりこくがあってうまい!

酒のあてにもなるしご飯のおかずにもなる。

 

冷蔵庫で冷え切った筑前煮も私は好きだ。

冷たい筑前煮を熱々のご飯と食べるのが実にうまい!

 

ちょっと煮凝りみたいになった甘じょっぱいおつゆだけでもご飯3杯はいける。

しかし筑前煮は材料が多いので、一度作ると大量にできてしまう。

 

そして今回もクリスマスという西洋からやってきたおしゃれなイベントの日に、大量の筑前煮が完成してしまった。

 

 

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シャンパンに筑前煮!

 

以前にもご報告したが、私にも今は彼女がいる。

おかげさまで楽しく過ごせているのでしばらくはこのままだろう。

 

まさかこの歳になって往復ビンタされて別れるということはないだろうが、まあ友達の延長という感じで長続きしそうだ。

 

昨日のクリスマスイブもその彼女がやってきた。

クリスマスということでロティサリーチキンを持って・・・

 

そうだ!

クリスマスにはチキンだ!

 

世界中の鶏たちにとって1年で一番受難の日である。

彼女が買ってきてくれたロティサリーチキンは1羽丸々をオーブンで焼いたもので、ハーブの香りが際立っていてとてもうまそうだ。

 

付け合わせのポテトも実にうまそう!

 

クリスマスの前に彼女とも話していた。

『私がチキンを買ってくるから、ぺこりーのさんは何かクリスマスのお料理を作っててね』と・・・

 

まあ当然の話だな。

クリスマスにチキンがあれば、あとはチキンにあうクリスマスっぽい料理を作ることになる。

 

しかしテーブルに置いてある料理は筑前煮!

華もなければ色も茶色。

 

これには彼女も唖然とした。

クリスマスによりによって筑前煮という、日本でももっとも地味臭い料理のベスト3には入りそうな料理なのだから。

 

しかも筑前煮やがめ煮はもともとお正月に食べられる料理だったらしい。

お正月にはまだ早い。

クリスマスには似合わない。

 

もうなんと言っていいやら・・・

 

しかし彼女は生まれてから一度も怒ったことがない人だ。

私にもとても従順である。

 

その彼女が口を開いて一言こう言った。

 

『ぺこりーのさん、どうしてこれ?』

 

ですよね。

もう、説明するのも面倒なので私はこう言った。

 

『俺の村ではクリスマスには筑前煮なんだよね!』

 

彼女はピクリとも表情を変えず、冷蔵庫を開けて中から一本のボトルを取り出した。

そうだ。

クリスマスのために買っておいたシャンパンだ。

 

そうだった・・・

忘れてた。

 

テーブルにはロティサリーチキンとシャンパンが並び、その横に筑前煮・・・

 

さすがにシャンパンに筑前煮はちょっとな。

白ごはんのおかずにアヒージョを出されたような気分だ。

 

こうやって65回目の私のクリスマスイブは終わった。

 

メリ〜クリスマス!

 

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