30年の恩を返す〜死んだ嫁にあと30年『ありがとう』を言い続ける

嫁のこと
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泣くしかないよおじさん

 

時々見ているテレビ東京の『家、ついてってイイですか?』という番組。

テレ東ってほんと面白い番組をやってくれる。

 

キー局がやらない?やれない?ところをうまく探しだして、番組を作ってくれている気がする。

深夜の街中で酔っ払っている人の家について行けば、何か面白いことがきっとあると考える人たちが素晴らしい!

 

実際にこの番組を見るたびに、必ず一つは涙が溢れる話があるからすごい。

普通の人たちって本当に面白いんだな。

 

普通の人たちが面白いと芸能人はいらなくなる。

YouTubeだってそうだ。

 

元々普通の人たちが面白いことをするから、みんなテレビじゃなくてYouTubeを見るようになった。

そして前回の『家、ついてってイイですか?』も、最高に面白くそしてやっぱり泣いた・・・

 

特番で2時間の放送時間だったのでいくつも泣ける話があった。

その中でも、山口県下関市にお住まいの60代のおじさんの話が私と境遇が似ていて、いちいちおじさんの言葉が胸に刺さった。

 

数年前に奥様を乳がんで亡くされ、今は下関市の広い一軒家でおじさんは一人寂しく暮らしているそうだ。

 

しかし・・・

 

このおじさん、奥様の遺影の前でも悲しそうな表情ひとつ見せない。

カメラの前ではやたらと饒舌で、とても寂しい一人暮らしには見えない。

年のわりにチャラくて陽気で、いつもヘラヘラ笑っている姿にはちょっと腹も立った。

 

なにが嬉しいんだ!

 

このヘラヘラおじさんは三菱重工業に長年勤務され、仕事一筋で頑張ったおかげで職位も上がり給与も高給だったと自慢していた。

そして定年となり、これから奥様にようやく孝行でもしようかという矢先になんと奥様が乳がんを発症。

 

そのまま帰らぬ人になってしまったそうだ。

そんな話もヘラヘラ顔で話すおじさん。

ところがおじさんの話も終盤になって、ずっと陽気だったおじさんの目から急に涙が溢れ出した。

 

おじさんが声を絞り出す。

 

『妻はあんなに一生懸命私の世話ばかりしてくれたのに、私は何一つ返せない。返したくてももう返せないんですよ。』

 

と言いながらポトポト涙をこぼしながら泣いた。

あの陽気な態度は、心の内をテレビの前では見せまいとわざと頑張っていたのか・・・

 

本当にこれからという時に亡くなられた奥様。

 

当時の奥様の胸の内を知る術はない。

あなたが生前尽してきた旦那様は、今テレビカメラの前でオイオイ声を上げて泣いてますよ。

 

妻を一度も旅行にすら連れて行ったことがなかった。

一度も楽しい思い出を作ることができなかったと・・・

 

もっと優しくしてあげればよかったと・・・

 

男泣きされてます。

 

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返すすべがないからありがとうを言うしかない

 

妻に先立たれた男はだいたいがこんなもんだろう。

奥様が長年ご主人に尽くされてきたその恩を、男は何一つ返せずにただただ後悔で泣くだけ。

 

しかし奥様から受けた恩など返せるものではないと思う。

 

私は前述のあのおじさんに比べれば、何度となく旅行にも行ったしたくさんの思い出もある。

『酒だけは飲んだね』と言って死のうと約束したその言葉通り、嫁と一緒に飲んだ酒の量は半端ない。

 

そういう意味ではあのおじさんよりは私はまだマシに思える?

ところが現実はとてもじゃないがそう思ったことは一度もない。

 

おじさんと一緒で、嫁から受けた恩を返したい。

でも返せない。

もう死んじゃったから返せないといつまで経ってもその後悔の念が胸を詰まらせる。

 

楽しいことをたくさんしたならいいじゃないかと言われそうだが、嫁から受けた恩とはそれっぽちではなんの恩返しにもならないほどとてつもない大きさなのだ。

毎日毎日、少しづつ積み上げられた嫁からの恩。

 

それが30年も積み重なって膨大な大きさになってしまった。

とてもじゃないが、1泊2日程度の温泉旅行で帳面が消えるほどのものではない。

 

結局どうやってもその恩を返せないのだ。

しかももうこの世にいないからどうすることもできない。

 

つまるところ私も下関のおじさんも、その絶対に返せない生前の妻の恩にただただ感謝をして生きるしかない。

 

私は常々、長生きなどしようと思わないと書いてきたが、あの番組を見てあと30年生きてみてはどうだろうと思った。

30年の結婚生活、その30年という長い年月を嫁は私に尽してくれた。

 

だったらあと30年かけて嫁に『ありがとう』を言おう。

これから30年間『ありがとう』を言い続けられたら、少しは嫁の恩に報いることができる気もする。

 

鶴だって恩を返すのだ。

我々だって受けた恩は必ず返す!

 

おじさん。

奥様の遺影を前に、私と一緒にありがとうを言い続けないか?

 

私たちにできることといえば・・・

 

もうそれくらいしかないんだよ。

 

コメントありがとうございます! いつもコメント楽しみに読んでいます。 しばらくお返事ができませんがコメント頂けたら嬉しいです!

  1. ミツル より:

    家ついていってもいいですか?
    私も大好きですー。

    あとテレビ東京の「昼めし旅 あなたのご飯見せてください」も。

    コロナで突撃訪問を自粛してて、事前アポでのロケ。面白みが今ひとつでしたが。

    NHKの「ドキュメント72時間」も好きです。

    一般の人が自然体で出る番組が好きです。 

    亡くなった人のために出来ることは、毎日を楽しげに過ごして、そんな姿を見て安心してもらうこと、、それしかないなと思っています。今となっては、それしかないな、と。

  2. あさみ より:

    私もその番組を見て娘と泣きました。

    主人の闘病の時
    あまりに辛くて悲しいときに
    自分でもこんな状況で笑うのはおかしいと思っているのに
    なぜか笑ってしまう時がありました

    最後の方で彼の方自身も病気になってしまい
    涙を見せていらっしゃった。
    笑顔と慟哭と紙一重なのかもしれないと思いました。

  3. 経堂 より:

    下関の重工の方、以前の放送、見ました。覚えています。いつの日にか、ぺこりーのさんもご出演されるかも知れませんね。あらかじめお知らせくださいね!

    30年は長いですね。でも健康優良児?のぺこりーのさんなら頑張れそうですね。奥様の為にも長生きなさってくださいね。
    私はとりあえずは70歳を超える事を目指しています。

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