記憶すら消えてしまっても・・・
ねえ。
覚えている?
あの春の日にでかけた海のこと。
らんまるを連れて車で走った海岸線。
この時はまだゆいまるはうちにいなかった。
名前を思い出せなかったけど鳥が飛んでたよね。
仲良く2羽が並んで車の上を飛んでいた。
君は帽子が飛ばされないように片手でずっと押さえてた。
スピードを出すと君が怒るから、
スピード出てないよと言ったけど
本当はずっと制限速度はオーバーしてたんだ。
砂浜に降りると海の匂いがした。
初めて海を見たらんまるは波を怖がって、
それがおかしかった。
まるで映画みたいに、
寄せる波から逃げては追いかけていたよね。
キラキラと光る水面はまだお昼だというのに夕陽のように見えた。
砂浜を君とらんまるがはしゃぎながら走る。
ブーツだからうまく走れなくて、
転んだ君を見てらんまるは大喜び。
2人とも砂だらけだ。
静かだった。
君とらんまるがはしゃぐ声しか聞こえてこない。
波の音さえも遠慮しているようだった。
海岸沿いのハワイアンのお店で初めて食べたロコモコ。
らんまるも白い椅子に座らされて3人で囲んだ丸いテーブル。
あの時の写真がまだあるよ。
やがて海が満ち始めて砂浜に残っていた足跡も波で消えた。
すると君がまた車で走ろうと言う。
君が何か話しかけるけど風が強くてよく聞こえない。
身振り手振りで話している姿に大笑いしたね。
あの道はずっとどこまでも続いているような気がした。
そしてあの日もずっと続くような気がした。
でももう君たち2人はこの写真の中にしかいない。
こんな日があったことはもう私しか知らない。
私がいつか死んだらあの日のことはもう誰の記憶にもなくなる。
でも、もうそれでいいよね。
誰も私たち家族のことを思い出さなくなっても、それでも私たちが生きた時間はこの世に現実としてあったんだ。
あの日飛んでいた鳥のように、名前すら忘れられてもみんな生きていたんだよ。
老後のおひとりさまごはん
写真ってなくてもいいと時々思う。
それも探しているわけでもないのに、なぜか急に目の前に現れる。
昨日のことはもう思い出せないくせに、なぜか忘れられないずっと昔の光景。
もう写真はいいや。
昨日の朝食はライスサラダと野菜スープ。
写真を見て思い出した。
私が最近このライスサラダにハマっていることなど、嫁は知りもしないだろうな〜。
晩ごはんはかつおのたたきと天ぷらといろいろ。
春先のかつおなのに脂がのってて美味しかった!
悲しくても嬉しくても腹は減るしビールは飲みたくなる。
馬鹿みたいに飲んでゆいまると絡まって寝る。
そしたらもう朝だ。
今日もだいぶ暖かい朝になったな。
あの日の朝のように。
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