生きていくことが普通ではない世界
日本も世界も、今や生きていくためにマスクを着用し手洗い、消毒を徹底するのが当たり前となった。
生きていくために密を避け人との距離を保つ。
生きていくために飲食店は営業自粛を要請され、また生きていくために飲食店は営業自粛要請に従わず営業を続ける。
生きていくために旅行をやめ、生きていくために外出を控え家に閉じこもる。
すべて生きていくため・・・
コロナ感染によって亡くなった世界中の著名人の方の一覧がある。
それを見るとどれほど多くの著名人の方がコロナによって亡くなられたのか、あらためてその数の多さに驚く。
医師やミュージシャン、芸能人、国会議員、経営者などなど。
日本でも志村けんさんや岡江久美子さん、高田賢三さんなど、業界で活躍された方々がコロナ感染で亡くなられ、日本中が深い悲しみに包まれた。
また、先日ニュースになったお笑い芸人のハチミツ二郎さんの復帰会見のコメントも、かなりの衝撃だった。
8日間も意識不明が続き、本人はわからないまま危篤状態だったとのこと。
生死の境とはまさにこのことだ。
医師や看護師さんたちの懸命の治療によって、危うく一命をとりとめられて本当によかった。
そしてその復帰会見のときのコメントがまた強烈だった。
『あなたが大丈夫でも、あなたがすれ違ったお年寄りを殺してしまうかもしれない』
という自覚のない若者への強烈なメッセージ。
まさに生還されたからこその言葉である。
世界中の人たちがこのコロナ禍によって、生きていくために生活様式を変え、行動を制限し人との接触を控えるように努力をしている。
こんな時代は私が生まれてからはおそらく初めてのことだ。
記憶する限り、世界中の国の人々が生存のために同じ行動をとるということは、かつてなかったように思う。
しかし、世界の災禍であるこのコロナ感染を歓迎している人たちが実はいるのだ。
コロナ感染によって全国の失業者が8万人を超えたことを厚生労働省が発表した日、Aさん(仮名47歳)は自分が就職氷河期に経験した絶望感が、このコロナ禍によって和らぐのを感じたと言う。
どれだけ努力してもまともな仕事に就けず、47歳となった今もある清掃会社に勤務されているそうだ。
大学を卒業し必要な資格もとった。
しかしことごとく採用は断られ、建築現場の作業員のアルバイトで食い繋ぎながらも、まともな仕事には就けなかった。
収入が低いため結婚も諦めた。
Aさんは今でもひとり暮らしなのだ。
友人たちが勤務する企業がことごとく業績悪化に陥り、これまで羽振りがよかった友人が解雇されたり苦境に陥っているのを見ると、心地いいとさえ思ったそうだ。
当たり前のように順風満帆な人生を送ってきた人たちが、コロナによって自分と同じ位置まで落ちてきたことに喜びを感じたというAさん。
一見、歪んだようにも見えるAさんだが、しかし就職氷河期と言われた世代に生まれた人たちは、押し並べて同じ境遇を経験した人が多い。
その年代の方達は、生きていくために尋常ではない苦労を強いられてきた人たちである。
コロナなど関係なく今までもこれからも苦しみながら生きていく方達を、簡単に非難することはできない。
格差社会による貧困
もうひとつ生きていくことに対して日々苦しい思いをされている人たちがいる。
日本という先進国に存在する貧困層の人たちだ。
このコロナ禍によって、急に貧困層が増えたかというと実はそうでもなく、2006年の調査開始以来、日本の貧困率はおおよそ15%前後とあまり変わっていないのだ。
可処分所得の中央値の半分を貧困線といい、それを下回る収入の方達が貧困層と定義されているが、バブルやリーマンショックなどにより上下はあるものの、概ね日本中の6〜7世帯に1世帯が貧困層と言われ、それは現在でも変わっていない。
たしかにコロナによって企業倒産や失業率の悪化はあった。
しかし貧困層と言われる人たちは、この日本という先進国に6〜7人に1人の割合で存在し続けてきたのである。
この方達もコロナに関係なく、ずっと生きていくために苦難を強いられてきた人たちなのだ。
若者と女性の自殺率が高い日本。
親が貧困だとその子供が貧困から抜け出せる確率はたいへん低い。
傍目には豊かな日本でありながら、自分が生まれた豊かな日本を享受することもなく亡くなっていく命。
さらにコロナが追い討ちをかけ、昨年末の女性の自殺率は前年の2倍まで膨らんだ。
『生きていくこと』
ただ生きていくことがそんなに難しい世の中であっていいものだろうか
追記
食べることは生きていくことだ。
しかし食事もままならない人たちが同じ日本にたくさんいると思うと心が痛い。
フードバンクやこども食堂のような活動も地道に続けられてはいるが、それでも日本で餓死のニュースが流れるということは、まだまだ社会に行き届いているとは言えないのが現実。
菅総理が言う『自助、共助、公助』という言葉。
まず自分で努力して次に民間が助け最後に政府が助けるという順番だ。
フードバンクやこども食堂のような共助でも足りてないから餓死者が出る。
最後でもいいから政府に助ける努力をしてほしい。
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