ようやく我にかえる
6年もたてば、もう何も起こらないことはわかっている。
嫁が死んでからというもの何一つ変化はない。
メッセージもなければ超常的なこともなし。
毎晩の夢にすら出てこないじゃないか。
嫁が死んで間もないころは、死ぬことは肉体が朽ちただけだから魂はどこかにきっといる。
そういう風に思っていた。
いや、信じていたというのが正しい。
普段なら全く信じてもいない死後の世界や輪廻転生、それに神や仏の存在など、自分のちぎれてしまった心をなんとか救いたくて、急に信者となって物語を作り出す。
当時は、耐え難い喪失感に自分すら見失ってしまっていたのだろう。
しかし何も起こらない。
その変化のない毎日が6年も続けば、さすがの私も奇跡などもう起きないと悟る。
そしてようやく無宗教で無信心でバチ当たりな元の自分に戻ることができたのだ。
やれやれ・・・
つい最近、Amazonプライムビデオで1本の映画を見た。
実話を元に作られたラブストーリーだった。
ストーリーは若い2人が婚約をしてから彼の末期癌が見つかる。
しかしそれから余命わずかな彼と2人で結婚式をあげるというラブストーリーだ。
映画の最後には映画のモデルとなった実際のカップルの写真も登場していたので、その彼もきっとすでに亡くなっているのだろう。
この映画で印象に残ったシーンがある。
結婚式を無事に終えた後、彼女は友人たちとハネムーンに行った。
そうだ、友人たちとハネムーンに来ているということは、もうこのとき彼はこの世にいないのだ。
彼女はホテルの部屋でひとり、亡くなった彼が生前に用意していたサプライズのビデオメッセージを見る。
しかし彼女は涙ひとつ見せずにビデオを見終わった。
彼の死後、一度も涙を見せることもなくこの映画は終わったのだ。
それがちょっと印象的過ぎるくらい心に残った。
ハネムーンと言えば結婚式の直後であろう。
彼が亡くなったのもつい最近のことのはずだ。
しかし彼女は泣かない。
結婚式まではあんなによく泣いていた彼女なのに・・・
きっと監督はいつまでもクヨクヨ泣いている主人公を見せたくなかったのだろう。
たしかに映画の最後は彼女が新しい道を歩き始めるところで終わる。
彼女はもう、彼の肉体も魂もこの世にいないことを知っていたのだ。
長い別れ
私と嫁の長い結婚生活では、単身赴任や長期出張などいろんな理由で離れて暮らしたことがある。
それでもたいていは一時的な仕事だから、すぐにまた一緒に暮らせるようになった。
しかし今回は6年も月日がたってしまった。
さすがにこんなに長いあいだ離れて暮らしたことはない。
まさかこんなに長い別れになるとは。
6年たってしみじみその時間の長さを感じる。
映画のようにパートナーの死の直後、もうこの世に肉体も魂も存在しないと割り切れる人がどれくらいいるだろうか。
私はそれを知るまでにはずいぶんと時間がかかった。
歳をとって記憶もほこりをかぶってしまい、いろんなことが曖昧になった気がする。
嫁と一緒に暮らした日は長い。
1万日以上も一緒に暮らしたのだ。
だけど一緒に暮らしたその1日1日のことを、はっきりと思い出せる日がいったい何日あるだろうか。
もう数えるほどしか思い出せない。
それほど日常は変化のない繰り返しだった。
でもそんな変化のない毎日がかけがえのない日々だったと思う。
こんな素敵な人生をありがとう。
もうこれ以上は何も望まない。
最後に・・・
今日も1日が終わった。
あとはウィスキーをちびちび飲みながら意識が薄れるのを待つだけだ。
グラスを握り締めながらこのまま逝ってしまいそうと思う時もある。
しかし不思議とまたいつものように朝はやってくる。
私は今もまたさして変化のない毎日を過ごしている。
きっといつか思い返せばこんな平凡な日々もまた宝物なのだろう。
時間が過ぎるのは早い。
嫁はいつのまにか2人の孫ができておばあちゃんになったことすら知らない。
早くそのことを教えてあげたい。
※この記事は過去に書いたものをリライトして再掲載したものです。
なので、過去のコメントがそのままくっついてますがご了承くださいね。
コメントありがとうございます! いつもコメント楽しみに読んでいます。 しばらくお返事ができませんがコメント頂けたら嬉しいです!
はじめまして。
私も遺骨と同居、
母と5年、ワンコと3年になります。
一緒に暮らしてしいた日常を、1日でも取り戻せるなら、、、と何度思ったことか。
ペコリーノさん、毎朝
ありがとうございます!
ミツルさん
初コメントありがとうございます!
私とほぼ同じですね!
でもご注意ください。
遺骨をそのまま置いておくとカビが生える可能性があるそうです。
なので私は近々粉骨して保存することにしています。
そうするといつまでも自宅供養ができるようです。
いつもブログを読んでいただいてありがとうございます!
ぺこりーの様
カビの件、ぺこりーのさんが心の広いかたでよかったです。
奥様への深い思い、いつも感じ入っています。
オール・マイ・ライフ、次に観てみようと思います。
私が最近面白かったのは『おいしい給食』です。
では良い午後をお過ごしください!
みっきーママさん
カビの件、教えていただいてありがとうございました。
みっきーママさんのおかげで粉骨して保存することにしました。
本当にありがとうございます。
カビ情報、おののきました。
粉骨が有効なのですね。
自宅供養に対策が必要とは
思ってもみないことでした。
中を確認しないと。。
ありがとうございました。
はじめてコメントします。
私がブログを読むのは夜です。
まず、わが家の亡きわんこと引き合わせてくれたボランティアさんの保護犬のブログ、
つぎに、ぺこりーのさん、
つぎに、60代のかたのファッションブログ、これがここのところの日課です。
今日の長い別れ、切ないです。
秋の長雨、肌寒さ、と重なってさらに。
うちは、こうしました、の話、散骨のさい、遺骨をあずけて、微細な粉にしてもらうのですが、その際
ダイヤモンドにできますよ~の営業と、少しだけ粉をきれいなガラスのボトルに入れて、手元供養はいかがという営業があり、費用の関係から、ガラスのボトルのほうにしました。いつもそばに、という意味ではよかったと思います。
私が死んだら、一緒に散骨してもらう予定。
話は飛びますが、ぺこりーのさんの文の中で線で消してあっても読める「心のうちの声」、いつも笑ってます。
そして、「モダンラブ」、教えてくださってありがとう。楽しみました。
「オール・マイ・ライフ」観ます!
朝ごはんはここのところ、ライスサラダです。飽きるまで続きそう。
ピーターラビットさん
初コメントありがとうございます!
いつもブログ読んでいただいて感謝申し上げます。
遺骨をダイヤモンドにできるんですか!!
そんな営業をされるんですね。
実は私も粉骨することにしました。
そして私も含めて全員が天国に行くまでは手元供養します。
お〜!
ライスサラダ美味しいでしょ。
返信も頂き、ありがとうございました。
つらつら読んでおりましたら、ひょっとして京都のご出身?
三宮の事もご存じの筈だ!と嬉しくなりました。
メアドが間違って居たので、訂正しなければと思ってやって来ました。
応援ポチも頂いたそうで、ありがとうございました。
マリコさん
コメントありがとうございます!
京都は大学から住んでいて就職も京都だったので長く住んでましたね。
出身は熊本県なんですが・・・
仕事でよく三宮には行きました。
ガード下にステーキが安くてうまいお店があったのを覚えています。
嫁と2人で食べに行きました。
あと長浜ラーメンの美味しいお店もあったんですが、まだあるのかな〜。
いつでも遊びにきてくださいね。
最近母を亡くしたので、どんな感じかな?と思いながら読ませて頂いております。
写真がお洒落なので、人気も高いですね?!
羨ましいです。
私にはうるさい姉がいますので、樹木葬を選びました。
三宮の山の上に母は移動する予定。
また時々、面白さによっては頻繁にコメントを入れてしまうかも知れませんが
仲良くしてやって下さい。
マリコさん
初コメントありがとうございます!
お母さんが亡くなられたんですか。
それはお寂しいですね。
でも樹木葬を選べれたって素敵です!
三宮の山なら神戸の街が一望できていいですね。
ぜひコメントお待ちしておりますよ。
応援ぽちさせていただきました!